はじめて補助輪のない自転車に乗った時のことを覚えているでしょうか。
それは、たぶん小学生低学年くらいの時でしょう。
きっとその時は自転車に乗ることに期待を持ちながらも、その難しさで
「こんなもの、できない」
「怖い」
と不安や恐怖を感じたことでしょう。
実際に自転車に乗ってみると、これがまた実に難しいことが分かります。
はじめは両親に支えてもらい、それから支えを外してもらうと、とたんにバランスを崩して倒れてしまいます。
ペダルを漕ぐこと、バランスを取ること、ハンドルをしっかりと保持することばかりに集中し、全く心に余裕はありません。
そして、何かにぶつかったりバランスを崩して倒れてしまって打撲したり、擦り傷ができたりして、しばらく自転車に乗るのがもっと怖くなった経験が誰でもあるでしょう。
ようやく自転車に乗れるようになっても、今度は一人であちこち行くときに人やものにぶつかったり、やはり倒れてしまってケガしたり、道路に飛び出して車にはねられそうになったり・・・
でも、今、みなさんは自転車に乗ることができますよね?
自動的にバランスを取り、余裕を持って、周りの景色を楽しみながら自転車に乗ることができます。
サイクリングをすることもできますし、町中のいろんな景色を楽しむことができます。
その時、バランスのことやペダルを漕ぐことに意識は集中していません。
もっと遠くに意識を向けることができます。
心にスペースがあるのです。
これまでにないスキルを身につける、ということはこういうことなのです。
ところが、スキルを身につけるはずが、
- 自転車のマニュアルを見て、すでに乗ることができると勘違いしたり、
- 人が自転車に乗っているのを見たり、自分が自転車に乗っていることを妄想して、自分もすでに乗ったつもりになって根拠のない自信を持ったり、
こんなことしたところで、実際に自転車に乗ることができるわけではないのです。
私はみなさんに
自転車に乗ってください
と言っています。
自転車に乗るときは、当然、転んだり、ケガしたり、不安になったり、恐怖を感じたり、無様な姿をさらして人に笑われたりすることも含まれています。
もし、これらが嫌ならば永遠に自転車には乗ることができなくなります。
今、みなさんは自転車に乗っていますか?
それともマニュアルを見て乗ったつもりになっていないですか?
自分では何もせず、妄想したり人ができるのを見て、自分もできるものと勘違いしていないですか?
ここに隠れた大きなポイントがあるのです。
なぜ、乗らないのですか?
ということです。
- 時間がないから
- 忙しいから
- 自分にはできそうにないから
- 自転車でなくてもいいから
- もっと他にいいものがあるから
- いつかできるようになるから
こんなところではないでしょうか?
でも、これらの思考を信じてしまえば、思考はあなたを自転車に乗せようとは思わないでしょう。
何よりも、これらの思考をあなたはずっと聞き続けて、今の苦しいあなたがいるのです。
回避することに精一杯になっているときこそ、それがこれまでと同じことをやっていることに気がつかないのです。
どんなに自分をだましても、自転車に乗っていない事実には何ら変わりがないのです。
みなさんにアドバイスしたいことがあります。
私たちは最新のテクニックを用いてこれまでのやり方を変えようとしています。
しかし、
最新のテクニックを用いてこれまでと同じことをするならば、
変わりたいと口ではかっこよく言いながら、
永遠に変わらず、変わろうとせず、
後悔ばかりする今までと同じことの繰り返しが続くだけだ
と。
もう一度聞きます。
なぜ、自転車に乗っていないのですか?
何があなたを阻んでいるのですか?
乗りたいけれど、乗ることができない、それは事実ですか?
実際は、乗ることができないのではなく、乗らないと決めていることに気がつきませんか?
もし、乗ることを阻む理由が正しいものとしたら、その理由は、あなたをどこに連れて行きますか?
自己欺瞞こそ、思考の大きなトラップ(罠)なのです。
あなたの思考や感情をいったん棚上げにして、
そして、大胆に乗ってみましょう。
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